うつるんです。

実家に帰って久しぶりにずっとばあちゃんのお相手してた。
同じ話をグルグル回ってるだけなんだけどね。

3年前に桜を二人で見に行ったことも話した。
もう当然忘れちゃってるんだけど、行ったんだよって。
写真がどこかにあるねぇなんて、そんな話も。

あの時、ばあちゃんがいつか私のことも分からなくなる日がくること、それが怖かった。

風に舞う花びらのように
儚く
その記憶が消えていってしまうこと

あれから随分弱ってしまった。
昨日から急に歩けなくなったというから、心配で帰った。
ライブが近いからギター持って帰ったのに全然弾かないでばあちゃんの隣にいた。

大好き、だけど嫌い。
そんな感じ。
体裁ばっか気にしてプライドめちゃ高くて。悲劇のヒロイン気質。
そんなばあちゃん。
でも家族と家のことばっかり考えてて、私がこの世が本当に嫌になって一番辛い時に、一番側にいてくれたばあちゃん。

今はオムツだしだだこねるし手に負えない時もあるし、正直、私はもう実家に帰って生活は無理だ…。
それは逃げたってことかもしれない。
実家にもあまり帰らなくなった。

母に任せっきりだ。
母も大変だしストレス溜まるのわかってるのに。

何も出来てない。
何もしないで何やってんだ。
何もしないで逃げてんだ。
家族のことも夢すらも。

最悪の自分がそこにいた。

よく晴れた暖かい日。

ばあちゃんの手は

右手は温かくて

左手は冷たかった